流動接触分解(FCC)とは、分子の大きい重質油留分を低分子のガソリンや中間留分に分解する反応をいい、500度以上の高温で重質油と流動接触分解触媒とを接触させることにより進行します。
流動接触分解を行なうと、そのままでは使用することが難しい劣悪な重質油からクリーンなガソリンを製造できるため、石油精製分野では非常に重要な反応であると同時に、限りある資源を有効に活用できる、環境にやさしい反応でもあります。
コスモ石油では、重質油から効率的にガソリンを製造できる独自の流動接触分解触媒を開発し、製油所での商業運転に利用しています。
流動接触分解触媒は直径約60μメートル(1μメートルは1メートルの10万分の1)の球状の粒子です。この粒子はゼオライト、シリカ、粘土鉱物などの物質から構成されており、ゼオライトの改良や構成物質の配合量、新規物質の添加などによって分解能力をコントロールすることができます。
また流動接触分解反応では、「触媒と重質油との反応」と「触媒の再生」とを繰り返し連続して行う反応方式で運用されるために、触媒には高い分解能力と耐久性が要求されます。
そこでコスモ石油では、ゼオライトの改良、新規マトリックス成分の添加に着目した研究開発を行ない、高分解能・高耐久性を有する新規の流動接触分解触媒の開発に成功しました。
開発した触媒は千葉・四日市製油所の各流動接触分解装置で運用され、重質油の効率的処理に貢献しています。