「サルファーフリー」とは、ガソリンや軽油に含まれている硫黄分を10ppm以下(1ppmは100万分の1)にまで低減することです。これにより、大気汚染物質を削減すると同時に、自動車排ガス浄化システムの性能を最大限引き出すことができます。
コスモ石油では、1999年より独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)/財団法人石油産業活性化センター(PEC)のプロジェクトに参画し、軽油中の硫黄分を除去するための脱硫触媒の開発を行ない、サルファーフリー軽油の製造に適した高活性脱硫触媒を実用化しました。
その脱硫活性は、従来の軽油脱硫触媒と比較して約3倍です。
近年では、更なる競争力強化を目指し、余剰留分を有効活用することが可能な軽油脱硫触媒の開発に挑戦し、活性成分の構造を精密制御することで触媒性能の向上を達成し、コスモ石油の軽油脱硫装置へ展開しています。
開発触媒の開発コンセプト図
二硫化モリブデン層を多層化させて活性点数を増大し、難脱硫性硫黄化合物を効果的に水素化脱硫させることに成功しました。
硫黄分を10ppm以下に低減するためには、軽油中の難脱硫性硫黄化合物を十分に取り除く必要があります。
この難脱硫性硫黄化合物を効果的に除去するために、有機酸等を用いた新規触媒調製技術を見出し、触媒表面上の活性成分(コバルト、モリブデン)をナノレベルで高分散化することによって、触媒活性を飛躍的に向上させることに成功しました。
開発触媒はコスモ石油の全製油所の軽油水素化脱硫装置に導入され、設備を大幅に増強することなく、サルファーフリー軽油の商業生産および安定供給が可能となりました。